2022年8月25日木曜日

2022年8月25日更新【今日のミャンマーニュース】「コメの価格高騰もミャンマー国民の苦難の一つ」「燃料不足で価格が高騰、ミャンマーのドライバーは苦しい思い」

 米の価格高騰もミャンマー国民の苦難の一つ

東南アジアの主食である米やその他の商品価格がこの2カ月間で5割も高騰しており、紛争が続くミャンマーですでに祖国を追われたミャンマー国民にとっては、別の苦難に直面していると業者関係者や消費者は語っている。


世界食糧計画(WFP)がまとめた最近のデータによると、ミャンマーにおいてベースとなる食糧の平均価格は、過去1年間で35%上昇している。


地元で最高級米と言われているシェボポーサン米の24ピー袋(108ポンド)は、さらに値上がりしている。7月1日に66,000チャット(31ドル)で売られていた一袋が今では90,000チャット(42ドル)で販売されている。ヤンゴンの小売市場では、同米の価格が10万チャット(47ドル)にまで跳ね上がることもあると業者関係者は語っている。


紛争の発端となった2021年2月1日の軍事クーデター以前は、この米の24ピー袋の価格は52,000チャット(25ドル)だった。


このインフレは、民主的に選ばれた政府が追放されて以来、品質が良くない米でさえ買うことが難しくなり、仕事がなかなか見つからない低所得者たちを直撃していると情報筋は述べている。ヤンゴンの低所得者は、以前は25,000チャット(12ドル)だった低品質の米が、今では45,000チャット(21ドル)で売られているという。


ミャンマー米穀連合会のイェミンアウン会長によると、米の価格高騰はCOVID-19ウイルスの発生、ミャンマーの政情不安、そして生産コストの高騰が原因だと述べた。


(2022年8月15日:rfaよりJMSAが要約・翻訳)



燃料不足で価格が高騰、ミャンマーのドライバーは苦しい思い

燃料不足によりミャンマーの主要都市でガソリンスタンドが閉鎖され、物価がクーデター以降2番目に高い水準まで高騰しており、政権による輸入制限と為替操作が原因であると批判が起きている。


軍事政権のエネルギー省の燃料輸入・貯蔵・流通監督委員会は金曜日、燃料不足により8月7日からの5日間で600チャット(0.30ドル)、4割近く価格が高騰したと発表した。


日曜日時点での1リットル当たり(0.25ガロン)のディーゼルとオクタンの平均価格は、それぞれ1,970チャット(0.94ドル)、そして1,615チャット(0.77ドル)だったが、金曜日には共に2,550チャット(1.21ドル)、そして2,245チャット(1.07ドル)に値上がりしている。


燃料不足による価格高騰が原因で、ミャンマーの最大都市であるヤンゴンやマンダレーを含め、ほとんどの州や地域の主要都市にあるガソリンスタンドでは燃料不足により閉店したり、販売制限を余儀なくされている。


市外では92オクタンを1リットル2,850チャット(1.36ドル)で売る店もあり、バイクには2,000チャット(0.95ドル)で、車に対しては20,000チャット(9.53ドル)で販売しているところもあり、さらには道端でガソリンを小瓶に入れて様々な値段で販売していた者もいる。


国内の燃料不足と価格高騰にも関わらず、軍事政権のミンアウンフライン国軍総司令官は 8月8日、政権の業務調整会議において同政権は年間13億ドルの石油および石油製品の輸入を削減することにより支出を減らす対応を取ると発表した。



(2022年8月12日:rfaよりJMSAが要約・翻訳)


2022年8月18日木曜日

2022年8月18日更新【今日のミャンマーニュース】「ミャンマー紛争にロシアを巻き込む」

 皮肉に聞こえるかもしれないが、ミャンマーが日を追うごとにシリアや南スーダンのようになりつつある昨今、ロシア外相が先週ネピドーを訪問し、非難の的となっているミャンマーの軍事政権に必要な道徳的、政治的支援を提供したのは、まさに適切なことだったと言える。


ネピドーで開催されたイベントに参加した外国の高官の中で最高位の人物であったロシアのアレクサンダーフォミン国防副大臣は、同イベントの2日後、ミャンマーを「信頼できる同盟国であり、戦略的パートナー」と語った。


ロシアがウクライナに侵攻したとき、同政権はクレムリンを支持し、報道官は「ロシアは依然として世界平和のための勢力の均衡を保つ役割を果たす強国である」と述べた。


現在でもロシアはミャンマー軍への主要な武器供給国の一国であり、2001年以降、少なくとも7,000人のミャンマー人の幹部候補に対して大学院での教育を提供している。


モスクワは、ミャンマーに戦闘機、ヘリコプター、防空システムを提供しており、ミャンマーの政権指導者が中国からよりもロシアからの軍需品を好んで使用するということは誰もが知る事実である。


しかし今日では、二国間の関係は軍事的なものだけに留まらず、モスクワは、ミャンマーとの外交、経済、貿易、そして安全保障関係に関して幅広い関係性を持つことを目指している。


同時期にカンボジアで開催されていた地域閣僚会議から締め出されてしまった孤立したミャンマーの指導者たちは、ラブロフ氏を満面の笑みで迎え、ミャンマーの軍事政権が強力な友人を得たことをアピールした。


(2022年8月8日:The IrrawaddyからJASAが要約・翻訳)

2022年8月8日月曜日

2022年7月18日更新 【今日のミャンマーニュース】「軍事政権、企業に対して海外からの融資返済の差し押さえを命令」

 ミャンマー政府中央銀行(CBM)は7月13日、海外から融資を受けている国内外の企業や団体に対し、融資の利子の返済を一時的に停止するよう指示を出した。

AD(認定ディーラー )免許を持つ銀行は、海外の金融機関からの融資返済計画を顧客に周知し、必要に応じて準備するよう勧める旨の文書を、外貨購入をしているAD免許を持つ銀行に送付した。

この命令は、国外への外貨流出に対して厳しくするための措置だと企業関係者らは見ている。

批評家らからは、この命令がミャンマーで事業を行っている外資系企業に対してさらなる障壁をもたらし、外国の金融機関がミャンマー市場からの低金利金融商品を差し控える恐れがあると強調した。

外為法によると、国内外の企業や団体が海外の銀行から融資を受ける場合、ある一定基準を満たす必要があるため、親会社はCBMの許可なしには融資を受けることは認められない。

自暴自棄になりつつあるCBMは、AD免許を持つ銀行に対し7月18日までに外資系企業による所有率が35%に達するミャンマー企業の外貨口座をミャンマーのチャット通貨に変換するよう指示を出した。

CBMは、AD免許を持つ銀行で外貨預金口座を開設した企業に対し、7月18日までに外貨預金口座にある米ドル保有額を当行に提出するよう通知した。

CBMは、外国為替管理法に基づく指示に従わない企業には、措置を講じると警鐘を鳴らしている。

闇市場レートが1ドル=2,100チャット以上に高騰しているにも関わらず、軍事政権は外貨保有者に1ドル=1,850チャットのレートでドルを交換するよう強く求め、チャットに対するデフレ圧力と対峙している。

その当時の指数関数的に高騰していたミャンマーのチャットのクーデター前の価値は、1ドル当たり1,330チャット程度であった。


(2022年7月18日:DVBよりJMSAが翻訳)

2022年7月18日更新 【今日のミャンマーニュース】「外資系企業によるミャンマー企業への外貨出資率35%をミャンマーのチャット通貨に変換」

 ミャンマー中央銀行(CBM)は7月15日、外国為替監督委員会(FESC)の会合であるNo.32 / 2022の決定に基づき、ミャンマー企業の35%を所有する外資系企業に対し、各自の口座にある外貨をミャンマーのチャット通貨に変換しなければならないと発表した。

この発表によれば、ミャンマー企業の35%を外資系企業が所有するミャンマー企業の一覧をこの発表と共に外国為替公認ディーラー(AD)に送ったとのことだ。

ディーラーは、7月15日午後6時までに各銀行に外国為替口座を開設した企業の外貨口座残高の空欄を証拠として電子メールに記入し、送らなくてはならない。

また、7月18日午後6までに外貨からミャンマーのチャット通貨の交換を迅速に行い、銀行と顧客(入札)、そして非貿易向け(リアルタイムR)の一覧に金額を記入しなくてはならない。

この指示に従わない場合、外国為替管理法第35条に基づき、違反者に対して措置が取られることになる。

(2022年7月18日:THE GLOBAL NEW LIGHT OF MYANMARよりJMSAが翻訳)


2022年7月19日更新 【今日のミャンマーニュース】「ミャンマーにおける中国の3大インフラ構想に注目」

 中国がミャンマーを通じてメコン諸国との関係再構築を目指す重要なメッセージを発信することを目的に、ミャンマーでランカン-メコン協力会議(LMC)の共催が予定されている。

これに先立ち、中国外相が今月上旬に内戦で荒廃したミャンマーを訪問した。

北京による戦略的かつ経済的利益が集中するミャンマーにおいて、王毅外相の訪問後中国は、3つの野心的な計画を練りつつも慎重に状況を注視している。

中国は、ミャンマーのリスクが少ない地域で野心的なプロジェクト実施を検討しているとみられる。

こうした計画は、ミャンマー国内での中国の経済的かつ政治的影響力を飛躍的に高めるだけでなく、シャン州東部と北部で中国と同盟関係にある民族武装組織(EAO)に地政学的な優位性を与えようとするものである。

欧米諸国が政権の人権侵害を理由にミャンマーを敬遠する一方、中国はミャンマーのインフラプロジェクトにおいて唯一の関係国となり、政権の私腹を助長することになりかねない。

情報筋によれば、LMCによる新たな国際陸海空貿易回廊によりミャンマーに対して中国の経済的依存度をより高めることで、ミャンマーは中国にとっての「お得意様」国家になることは不可避となるだろう。

LMC プロジェクト

中国による一方的なダム建設の実施を受け、6カ国(中国、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナム)で構成されるメコン川流域諸国の小規模地域協力機構「LMC」が設立された。

2016年以降中国は、文化的イベント、農業プロジェクト、そして地域間をつなぐインフラプロジェクトに至るまでメコン諸国にとって積極的な関係国かつ保証国として実績を上げてきた。

ミャンマーでの会合の際に中国は、農業、水資源、デジタル経済、航空宇宙、教育、公衆衛生に関わる6つの協力プログラムを提案した。

しかしLMCの主な目的は、中国-ラオス間を結ぶ鉄道の建設など各国間の輸送インフラプロジェクトや国境を越えた経済協力を売り込むことである。

中国は昨年8月、ミャンマー軍事政権に600万米ドル以上を拠出し、文化、農業、科学、観光、動物ワクチンを含むLMCの下で行う21のプロジェクトに資金援助を行うことを発表した。

ミャンマーのワナマウンルイン外相との会談で王氏は、「LMCの質を高め、向上させる」ことを目的に、北京はミャンマーとの調整および協力を強化する旨意を示していると伝えた。

これを受け、中国が資金提供を行うメコン-ランカン協力国家調整ユニット(ミャンマー)がミャンマーに発足した。

中国とミャンマーの関係に詳しい地元のオブザーバーによれば、王氏の訪問は、一部の中国国内のアナリストからは否定的な意見が出ているものの、北京がLMCを通じて政権を全面的に支援していることを示しているという。

クーデターにより生じた政治的かつ社会的危機を緩和するため、軍事政権は外国からの投資を切に願っているのである。

「もしこの国が完全に無政府状態に陥れば、中国にとって悪夢となり、中国はそれを(自国の利益のために)心配しているのです」と当オブザーバーは語った。

LMC下での中国は、シャン州東部のあまり知られていない戦略的な港湾プロジェクトなど様々な分野でミャンマーに対して積極的な支援を行っている。

中国大使館は先月初め、LMC特別基金の支援を基に実施予定のワンポン港の改修工事プロジェクト履行に向けた調査が終了したことを発表した。

また中国は、2018年から同港を地域の貿易拠点とするために数百万ドルの投資を行ってきた。

中国大使館によれば、当プロジェクトの調査には、環境や社会に与える影響評価、費用の見積もり、設計計画や運用研修プログラム等が含まれているとのことである。

シャン州東部のタチレイ地区に位置し、メコン川に面する戦略的な港湾であるため、中国にとってメコン地域への影響力を強めるには重要なプロジェクトである。

北京は、ワンポン港をメコン川流域の主要港の一つにすることを公約として掲げている。

この港は、ラオスとの貿易に大きな役割を果たすとともに他の大メコン圏(GMS)諸国を結ぶ道筋を開くものになる。

さらにコロナ蔓延時には、ミャンマーはこの港からラオス経由で中国に米を輸出していた。

このワンポン港の拡張工事の完成で輸送用コンテナの取り扱いが可能となり、ミャンマーとGMS諸国との貿易が活発になることが期待されている。

またこの計画により、シャン州東部での中国の経済的影響力が高まる。

ミャンマー国内で軍事政権が発足して以降中国は、シャン州東部を含むサルウィン川東部の支配権を獲得するために積極的に活動を行っていた。

さらにLMCにおいて、サルウィン川の水力発電所の再開やサルウィン流域のいわゆる開発プロジェクトを大メコン圏プロジェクトの一部として扱うことが中国にとって主要な優先事項の一つとなっている。

中国は、シャン州での巨大ダムの建設計画以外にもサルウィン川沿いに少なくとも7つのダム建設を計画している。

中国とタイの企業による共同開発として計画される7,000メガワットのモンタンダムは、シャン州ではタサンダムと呼ばれ、国内最大の水力発電ダムとなる。

地元住民の強い反対にも見舞われたが、ダムは計画段階に入っている。

この動きにより中国の経済的かつ政治的影響力が高まり、中国とワ州連合軍(UWSA)を含むこの地域の同盟EAOに対して経済的かつ地政学的な優位性を与えることになる。

軍事政権発足以降の中国はというと、同盟関係にあるEAOの協力を得ながら中国-ミャンマー間の経済回廊(CMEC)沿いやサルウィン川東岸に緩衝地帯を設けることに力を入れている。

同盟関係にあるEAOとシャン州復興評議会(RCSS)との間で起きている紛争を考慮し、中国は友好的なEAOにこうした地域の領有権を確保するよう訴えているようである。

さらに重要なことは、サルウィン流域での高まる中国の影響力により、サルウィン川の水力発電所の再開やサルウィン流域のその他の開発プロジェクトがLMCの一部となる可能性があるということである。


 (2022年7月11日 イラワディよりJMSA翻訳)