国際人権団体、ビール大手キリンにミャンマー政府軍系企業との関係解消を要求
国際NGOヒューマンライツウォッチなど4つの人権団体(NPOヒューマンライツナウ、NPO日本国際ボランティアセンター、NPOシャプラニール)は5月22日、日本に拠点を置くビール大手キリン(キリンホールディングス株式会社)に対し、ミャンマー政府軍系企業との提携がラカイン州における人権侵害への加担になるとして、提携関係を解消すべきとの書簡を通知した。
キリンは現在、政府軍が保有する企業ミャンマーエコノミックホールディングス株式会社(MEHL)と提携し、ミャンマーブルワリー社(MBL)とマンダレーブルワリー社(MDL)の株式を過半数所有している。
国際NGOアムネスティーインターナショナルによると、MBLは、2017年9月~10月に、政府軍とラカイン州政府に少なくとも3万ドルを献金しており、政府軍がラカイン州で軍事行動を実施した時期と一致する。
国連事実調査団は2018年報告書で「ミャンマー政府軍のラカイン州における軍事行動は、戦犯および人権侵害に相当する」と発表し、2019年報告書では「政府軍および軍系企業に資金提供を行うことで、人権法および国際人道法に違反する恐れがある」と警告した。
ヒューマンライツウォッチのアジア担当、ロバートソン氏は「キリンは、人権侵害を繰り返すミャンマー政府軍に資金提供しているようなもの。提携企業との関係を断ち切るべき」と述べた。
ヒューマンライツナウの幹部、イトウ氏は「国連の2019年報告書から半年以上が経過するが、キリンは今も提携関係を継続している。同社の事業活動は、政府軍の人権侵害を日々助長している可能性がある」と指摘した。
日本国際ボランティアセンターの幹部、ハセベ氏も「キリンは、子会社が人権侵害を重ねる政府軍に数万ドルも献金した明快な理由を説明していない。国連の報告書を真摯に受け止め、軍系企業との関係を解消するべき」と述べた。
上記4団体の書簡を受け、キリンは6月12日、ミャンマーでの自社の事業活動に対する国際社会の懸念に対処する方針であることを発表した。
また、「提携企業の収益が軍事目的に使用されることは容認できない」とした上で、自社HPにおいて「MEHLの財務およびガバナンス体制の詳細開示を繰り返し求めたが、適切な文書提供がなされなかったため、デロイト・トーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社に資金使途の調査を依頼」したことを発表している。
(2020年6月18日付けHuman Rights Watch記事より要約。およびキリンホールディングスHPを参照)
ミャンマー、新型コロナ打撃企業への融資政策
計画・財務・工業省は、新型コロナウイルスの影響で特に打撃の大きかった企業に対し、政府がこれまでに318億チャット(約24億6200万円)の融資を行ったことを明らかにした。
また、農家に対しては、エーカーあたり5万チャット(約3800円)、年利5%での融資を6月中に開始する予定だ。農地1200億エーカーに対し、6000億チャット(約464億円)規模の特別救済ローンを9月までに実施する方向で検討されている。
(2020年6月25日付けMizzima記事より要約)
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