1月29日の目覚め前に見た夢がすごかった。
在日本ミャンマー大使館に、私はトマトシチューとホワイトクリームシチューをタッパに入れて持っていく。
カウンターのソーシャルビザ(ミャンマー人もしくはミャンマー人の家族がミャンマー入国時に申請するビザ。この国は、自国民でもビザが必要な人と必要ない人が出る)担当の女性にそれを渡すのだが、大使館内で手渡しを繰り返すうちにシチューの量が減ってしまった。大使館スタッフの誰かがシチューを食べてしまったのだ。
「誰がシチューを食べてしまったんだ!?」
私はカウンター内の大使館スタッフに質問する。しかし誰も明確な答えは出さない。シチューは、ミャンマー大使に届けるものであった。もともとあるべきシチューの量は16,500グラム。なんと偶然にも、私と私の家族のソーシャルビザの金額16,500円と数字が同じではないか。
「シチューが足りないと、大使に面談して口利きできないよ!ビザがおりないかもしれない!」
私は必死になって、大使館スタッフに訴える。わざわざ娘のお気に入りのシチューをここまで持ってきたのに、誰かが賄賂をかすめとったな、と怒り心頭だ。
「ミャンマー大使館とは言え、日本国内にあるのに、賄賂が必要とか、ビザ申請のたびに、大使館ウェブサイトにない書類を持って来いとか、私の義理のミャンマー人の父親が実在する証明書持ってこいとか(この義父の部分は実話)、いつまでミャンマー流儀を貫くつもりか。ミャンマーの国家予算の半分は日本国から出てるんですよ」
さんざん訴えてもシチューは戻ってこない。今回はミャンマー渡航のビザがおりないと諦めかけた時、目が覚めた。
かような夢をみるほどトラウマを私に残したビザ取得ですが、今回は2週間にわたり計6回ミャンマー大使館に行ってソーシャルビザを得ました。わたした賄賂ゼロです。
うち一回は、ミャンマー人へのパスポート交付と引き換えに要求される数十万円から数百万円の支払いを「使途不明」として頑なに払わずにいる夫へのいやがらせなのか、単にソーシャルビザ申請者みなに高圧的なのかわからなかったので、かなり強く、「次に大使館ウェブサイトに書いてない書類を要求した場合、日本国のODAを拠出する役人かミャンマー大使に電話しなければならないかも。なにせカウンターの皆様と大使の考え方は違うって、以前大使との面談で伺いましたから」と、半分ハッタリで言ったところ、カウンター内にいる2人のスタッフが、3年前に私が本当に役人とコンタクトを取ったことを記憶していて、青くなって、オフィサーなる退役軍人を呼んできたのです。この2人は、私がミャンマー大使館に行った初日から私の過去を記憶していたのに、ずっと知らんぷりをして、他のスタッフがずっと私に理不尽な要求をするのを黙って見ていたわけです。
オフィサーは言いました。「こちらでうまくやりますから、ね、よろしくお願いしますよ」
このミャンマー語の意味は、「ミャンマー大使や外務省の耳に届くような真似はしないでね」である。
しかし、これでもミャンマー大使館もずいぶん弱腰になってきたなと思うのです。数年前と比べますと。政治権力が移り変わる時期と言うのは、人の態度まで変えるようです。大使館職員から、すみません、なんて言葉が出てくるなんて、数年前は絶対にあり得ませんでした。
日本の皆様は、在日本ミャンマー大使館で、ビザを受け取る際、ありがとうございました、すみませんなどとずいぶん低姿勢です。高圧的な姿勢が良いわけでは絶対にないんですが、日本はミャンマーに対して拠出したODA(借金)5000億円以上、棒引きしているんです。またこれからも大きなプロジェクトでミャンマーは日本のお金が欲しいわけです。そしてこのお金は我々日本にいる人々の税金からなっているわけです。日本が現在とても豊かとは言えない国家予算の中でこうしたことをやっているわけです。
そして日本人にわからない言葉で、ミャンマー大使館という同じ場所で、ミャンマー人や、元ミャンマー人で日本人に帰化した方や、ミャンマー人の日本人家族に、随分理不尽なことを要求しているのです。
なぜ日本人には1年間の数次ビザを出して、民主化活動をしたミャンマー人には、ビザ申請で3週間以上も待たせるんでしょうか。なぜ自国民をスムーズに入国させないのでしょうか。あと2ヶ月で政権交代だからと皆辛抱しています。
大使館はその国の顔です。フレンドリーで分かりやすいサービスを提供していたほうがいいと思うんですが。
(2016年1月31日 みやまさえこ)