9月17日更新
中銀副総裁、不良債権問題の発言で辞任か
ミャンマー中央銀行のソーテイン副総裁の去就に注目が集まっている。
同氏は、8月27日の下院議会で不良債権問題の解決を尋ねる質問を受け、「銀行が企業に融資する資金は銀行のものではなく、国民が銀行に預けたものだ」とした上、「何年も返済を繰り延べる負債者に中央銀行はこれ以上猶予を設けない」と強い姿勢で問題解決に臨む姿勢を示した。
中央銀行は9月2日、中銀の立場を正確に反映していないとして副総裁の発言を否定する声明を発表した。この中銀の発表を受け、副総裁は辞意を表明したものとみられている。
ソーテイン氏は、中銀副総裁に就任する前はアジアグリーン開発銀行で顧問を務めたほか、政府予算当局での経歴も長い金融界の重鎮だ。
ソーテイン副総裁に近い政府当局者は、「副総裁は何ら間違ったことは言っていない。同氏なら、自分が正しいと思えば、中銀総裁を激怒させることも厭わない人物だ。ただ、議会で銀行の信用を揺るがしかねない発言をすべきではなかった」と述べた。銀行業界も、中銀の2日の発表が副総裁の辞意を促したと見る一方、「副総裁の進退去就を推測するのは難しいが、ソーテイン氏には留まって欲しい」と、同氏に対する信頼は厚い。
匿名を条件とした議員によると、9月3日、渦中のソーテイン副総裁を含め、政府関係者、下院の銀行・金融委員会および国内銀行の正副総裁が中央銀行で会談を行った。この日にソーテイン氏は中銀総裁に辞表を提出したとみられる。これについて、政府当局者は「受理されなかったと聞いた」と述べた。ソーテイン副総裁は4日にも中銀に呼び出され、総裁と再度会談したと報じられている。
下院の銀行・金融委員会のキンサンライン委員長は9月4日、「議会で答弁する者は、責任を持って、自身の所属先の理念に沿った発言をしなければならない」と述べた。
(9月4日付けIrrawaddy記事よりJMSAが要約)
中銀副総裁、負債発言問題:国内反応
中央銀行の報告によると、ミャンマー実業界に対する国内外の銀行融資は、2018年9月末時点において、総額24兆2260億チャット(約1兆7139億円:9月13日付けレート換算)を超えている。
これに対して、ミャンマー中央銀行のソーテイン副総裁は、負債者である実業家への返済猶予をこれ以上設けないとの強い姿勢を示した件について、中央銀行が「この発言は中銀の立場を正確に反映していない」と副総裁の発言を否定する声明を出した。これを巡り、ミャンマー国内では銀行界および金融界に対する不安感が広がっている。
この事態を受け、アウンサンスーチー国家顧問は9月5日、ウィンミン大統領及び「国民民主連盟」所属議員と会談を行った席で、国民に対し、現在国内を騒がす銀行界及び金融界を巡る憶測に冷静に対応するよう呼び掛けた。
参加した議員によると、スーチー国家顧問は「国民は噂や正しくない事実に振り回される必要はない」と述べたという。
ビジネス界の大物キンシュエ氏は、8月22日に開催されたミャンマー企業家協会の記念式典において、「銀行は9月末までに全ての融資を返済するよう迫っている。返済できない企業は債務不履行で訴えられ、結果、国の経済悪化を招くことになる」と述べ、実業界を取り巻く厳しい状況を嘆いた。同時期、中央銀行のソーテイン副総裁は、議会で中小企業の債務負担の軽減策について問われ、不良債権問題の解決に強い姿勢で臨む姿勢を示した。
こうした一連の状況が実業界の不安を煽った。
こうした中、中央銀行は2日、ソーテイン副総裁の発言は中銀の立場を正確に反映しておらず、国民は銀行システムに何ら不安を抱く必要はないという声明を発表し、副総裁の発言を否定した。
この後、対ドルでのチャットは下落し、ミャンマー国内での金価格は高騰した。金価格については、この不良債権問題と国際価格の上昇が影響したとみられる。
中央銀行のもう一人の副総裁、ソーミン氏は「国民が一斉に預金を引き出し、金を購入しているという声もあるが、国内の銀行システムは円滑に機能しており、預金を下ろしたところで何ら問題はない」と広がる不安の払拭に努めた。
下院の銀行・金融委員会のキンサンライン委員長も「今の状況は制御不能なものではなく、流言飛語による連鎖反応に過ぎない」と述べた。
(9月7日付けMizzima記事よりJMSAが要約)
日本ミャンマー支援機構
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