8月28日更新
ミャンマー政府、教育改革に意欲
国際青少年デーを迎えた8月12日、ネピドーで「教育改革(”Transforming Education”)」をテーマとしたイベントが開催された。
アウンサンスーチー国家顧問も出席し、ミャンマー教育分野の発展に尽力する意欲を示した。
教育の目的は、知識を獲得し、視野を広げ、困難を乗り越えるための正しい判断が下せるようになることである。
スーチー国家顧問は、「政府には、若者が最高の教育を享受できるよう制度を整える責任がある」と述べた。
また、教育界だけでなく学生に対しても、教育部門の発展に協力してくれるよう呼びかけた。「効率的な教育システムの構築を目指し、現行教育法の長所および短所に関する意見を広く求めたい」とした。
(8月13日付けMITV記事よりJMSAが要約)
ミャンマー教育事情:教員も校舎も不足
ミョーテインジー教育相は7月31日、上院本会議において教育予算拡大の必要性を訴えた。
「ミャンマーは長年、教育に予算を十分掛けてこなかった為、当分野の遅れが顕著だ。2018~19学年度には校舎およそ4万5000校を新設する必要があるが、今年度の予算ではわずか4700校しか設立できない」と述べた。
野党「連邦団結発展党」のマウンティン下院議員は、「校舎不足の問題以上に学生・教員数比率(教員一人当たりの学生数)の向上に焦点を当てるべき」と主張した。
教育省によると、現在、基礎教育を行う教員は8万8000人近くいるが、教員不足の現状を改善するにはさらに8万7000人が必要だという。
教育水準向上委員会(Educational Standards Promotion Committee)のティンエー下院議長によると、アウサンスーチー国家顧問は、教育省の提示する予算は基本削減されるべきではないと考えているという。
その上で、教育省は2018~19学年度で、すでに2兆2000億チャット(およそ1550億円)費やしていると加えた。
ネピドーに暮らすキンスウェウィン氏は、子どもを私立の学校に通わせている。公立校より費用がかかる私立へ行かせる理由について、裕福だから私立を選んだわけではなく、教育こそが子どもにとって最も重要と考えているためと述べた。
ミャンマーは国際水準の12年教育課程を開始しており、初等教育は日本から、中等教育はアジア開発銀行から、高等教育はEUから支援を受けている。
(8月2日付けIrrawaddy記事よりJMSAが要約)
ヤンゴン、貧困地域への取り組み
ヤンゴン管区政府は、国連ハビタット(国際連合人間居住計画)と協力し、ヤンゴンの貧困地域やインフォーマル居住地(認可されていない居住地)の問題を巡り、持続可能な解決法を模索している。
国営放送によると、当該地域では50万人が暮らしに何らかの困難や問題を抱えている。
ヤンゴンのピョーミンテイン管区首相は「当該地域の改善に向け、短期的及び長期的な計画を立案する必要がある」と述べ、この地域で暮らす人々が雇用、収入、教育、医療を向上させられる手立てを講じると約束した。
ヤンゴン管区政府は短期的な取り組みとして、低価格な住宅エリアや基盤インフラの整備を計画している。
(8月7日付けMizzima記事よりJMSAが要約)
8月21日更新
ミャンマー料理:「ンガピ」ブーム到来?
「ミャンマー料理と言えば?」
と、聞かれれば、多くの人がまず思い浮かベルのはモヒンガー(麺料理)だろうか。
しかし、ほとんどのミャンマー料理に使用される隠れた主役、ンガピが語られることは少ない。ンガピは主に魚やエビを発酵させたペーストで、調味料やソースのように使い、様々な形で食卓を彩る。
ンガピを売りにしたミャンマーカレー専門店「ンガピチャット(Ngapichat)」が5月、ヤンゴンのランマドー郡区でオープンした。オーナーは、食べることが趣味の若い二人の医師だ。その一人は「ンガピは家庭料理に欠かせない存在なのに注目されてこなかった。だからこそ、我々はこのビルマの味を広めたい」と意気込みを語った。また、ンガピは露天など屋外で売られることもあり、衛生面で不安視されることがある点について触れ、自分たちは空調や衛生面を徹底管理し最高のサービスを提供すると主張した。実際、「ンガピチャット」の空調管理は行き届いており、シンプルな内装はソーシャルメディアでも評価が高い。
「ンガピチャット」は豊富なメニューを取り揃えており、スパイスの度合いは好みで調整してもらえる。ここで提供される料理は、もう一人のオーナーの叔母が作っていたレシピを基にしている。「ミャンマーの飲食店で出されるカレーのほとんどが油を多用しているが、自分たちは油っこくないカレーを提供している。どこかの家庭に来たようなアットホームな雰囲気で食事ができ、米はビュッフェ形式で満腹になるまで食べることができる」と、こだわりを語った。
「ンガピチャット」の人気は地元だけに留まらない。オーナーの二人は、「海外の人の口にはあまり合わないかと思っていたが、綺麗に食べてくれるお客様も多く、とても嬉しく思っている」と述べた。また、支店開設やブランド化など事業拡大の計画があると話した。
ガピチャットFacebook(https://www.facebook.com/ngapichat/)
(8月13日付けIrrawaddy記事よりJMSAが要約)
ミャンマー産スペシャルティコーヒーに熱視線
スペシャルティコーヒーとは、世界の評価基準を満たす高品質なコーヒーを指す。
昨今、ミャンマーのスペシャルティコーヒーに対する需要が急増している。ミャンマー珈琲協会(Myanmar Coffee Association)の幹部ミョーイェー氏は「少し前まで地元向けに低価格で販売していたのに、まさか欧米など海外の有名コーヒー企業やバイヤーと取引するようになるとは思っていなかった」と、急激な変化に驚きを見せた。
ミャンマーはこれまで主に、パウダー状のコーヒー・砂糖・ミルク一体型のインスタント製品を作ってきた。
しかし、ミャンマー経済の成長とともに、この5年ほどでコーヒー産業も拡大し、そのあり方は大きく変わってきた。
USAID(アメリカ合衆国国際開発庁)とNGOウィンロック・インターナショナルは、ミャンマーにおける食料安全保障の向上とコーヒーを含む農産物の市場競争力強化(VC-RD)プロジェクトを2014年から開始している。このプロジェクトは単に物的支援をするだけではなく、バリューチェーンに影響を与える従業員教育、市場連動、ビジネススキルといった面でのサポートも実施している。特に、コーヒーの生産から流通のどの段階においても、少数民族や女性が業界に従事することに力を入れている。
NGOウィンロック・インターナショナルによると、2019年1月の時点でプロジェクト参加農家の約74%は、VC-RDが導入した農業の新しい技術や方法を取り入れている。
ミャンマーコーヒー業界の草分け的企業「Shwe Taung Thu」もこのプロジェクトの恩恵を受けている。シャン州で300人以上の従業員を抱える同社は、USAIDから乾燥技術をサポートしてもらい、高品質のコーヒーを生産している。国内外から注文を受け、収入は過去の2~4倍に増加した。収益は教育や公共施設、環境保全などにも配分されているという。
同社幹部ゾーウィンコー氏は従業員に対する取り組みついて次のように語った。「高品質のコーヒーを維持するために新しい技術を教えるだけではなく、品質とその価値に対する理解や当事者意識を持つことの重要性など、ソフト面の教育にも力を入れている」
もちろん課題もある。NGOウィンロック・インターナショナルのVC-RDプロジェクト責任者、Nimish Jhaveri氏は「農機具を導入しても電気がなかったり、水源を確保できなかったことがある」と、高まる需要にインフラが追いついていない現状を語った。
また、資金面で農家に負担をかける現実もある。NGOウィンロック・インターナショナルによると、このVC-RDプロジェクトに参加するには運転資金などを確保するため、収穫前に100万ドル(約1億577万円:8月28日付け為替レート)以上が必要で、参加農家は国内外の銀行からローンを借りることになる。
高金利ローンはどうしても、資金が必要な農家を圧迫する。
それでもミャンマーコーヒーの未来は明るい。
情熱と献身があれば、コーヒー農家に立ちはだかる困難も乗り越えられるだろう。
前出のミョーイェー氏は「女性7人を含むQアラビカグレーダー※17人が誕生している。私は49歳だが、高品質のコーヒーをつくるため、今なお勉強を続け、新たな知識を得ている」と意欲を語った。
※ Qグレーダーとは、米国スペシャルティコーヒー協会(SCAA)が定めた基準・手順にのっとって、コーヒーの評価ができるとコーヒー品質協会(CQI)(場合によってはCQIとSCAAの両方)が認定した技能者のこと:「日本スペシャルティコーヒー協会」参照
(8月1日付けMizzima記事よりJMSAが要約)
日本ミャンマー支援機構
https://www.japan-myanmar.com/
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