中国パイプライン施設襲撃
ミャンマーのマンダレー管区で5月5日、中国に原油と天然ガスを供給するパイプラインの施設が襲撃され、警備員3人が殺害される事件が発生した。パイプライン自体への被害は大きくなかった。
3月にもヤンゴンで、中国系工場を標的にした放火事件も多数起きている。これに関しては、中国側は国軍に抗議するデモ隊の犯行と主張する一方、ミャンマー市民は弾圧の正当化を目論む国軍の自作自演と非難している。
いずれにせよ、2月1日のクーデター以降も国軍の肩を持ち続ける中国に対し、ミャンマー市民の中国に対する不信感や嫌悪感はより高まりつつある。
(2021年5月6日付けIrrawaddy記事より要約)
民主派、国軍対抗で「防衛隊」設立
民主派で構成された「国民統一政府(NUG)」は5月5日、「国民防衛隊」を設立したと発表した。
「防衛隊」は「連邦軍」創設へ向けた前段階組織とされ、国軍の弾圧から市民を守り、内戦を終結させることを目的としている。
NUGを支持する少数民族武装組織は、連携して防衛隊の訓練を支援する見通しだ。
国軍系メディア「ミャ―ワディ―」は5月8日夜、国軍最高意思決定機関「国家手凹地評議会(SAC)」がNUGおよび下部組織をテロ組織指定したと放送した。
(2021年5月5日付けRadio Free Asia記事、Reuters記事および2021年5月8日付けMyawaddy記事より要約)
UNDP報告:ミャンマー、2022年までに人口の半数が貧困の恐れ
国連開発計画(UNDP)は4月30日、ミャンマーの貧困状況の見通しについて報告書を発表した。それによると、新型コロナウイルスとクーデターによる情勢不安の影響で、2022年までにミャンマー人口の半数にあたる2500万人近くが貧困に陥る危険がある。
UNDPアジア太平洋局長兼国連事務次長補のKanni Wignaraja氏は「このままでは民政移管後に培ってきた発展が数か月のうちに消失し、軍事政権下にあった2005年の水準に後退する恐れがある」と懸念を示した。
ミャンマーで貧困ライン以下で生活する人の割合は2017年には24.8%だったが、コロナの影響で昨年2020年末には約35%に上昇した。追い打ちをかけるようにクーデターが起きたため、来年初めにはさらに12%高まり、貧困率は最大で48.2%に達する恐れがあると予測されている。
特に都市部では、情勢不安によりサプライチェーンへの影響が大きく、貧困層は3倍になる可能性がある。
(2021年4月30日付け国連HP、Aljazeera、Reuters記事より要約)
民主派、国軍との対話前に政治犯の解放を求める
民主派が樹立した「国民統一政府(NUG)」は4月28日、国軍によって拘束されたアウンサンスーチー氏などの政治犯の無条件解放がなければ、国軍との対話はあり得ないとする立場を明確にした。
東南アジア諸国連合(ASEAN)は4月24日に開催された首脳級会議でミャンマー情勢について協議し、国軍による暴力の即時停止や建設的な対話を含む「5項目の合意」を打ち出した。
これに対し、チョーモートゥン国連大使は「国軍との対話が公正で意義あるものにするためには、拘束されている市民の解放が先決だ」と述べた。
民主派は、ASEANが公平な立場でいられない限り、ミャンマーの軍事独裁は終わらないと非難した。人権擁護派も、国内の危機を打開するために、まずは不当に拘束されている3400人以上の市民の解放が必須と訴えている。
国軍側は仲介役のASEAN特使がミャンマーに派遣されること自体には賛同しているが、「(特使の派遣は)国内の安定が確保されてから」と条件を示していることから、「国軍は市民に対する弾圧を止めるつもりはなく、政治犯を解放するつもりもない」と見る政治アナリストもいる。
(2021年4月28日付けRadio Free Asia記事より要約)
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