2012年7月24日火曜日

日本とミャンマーをつなごうと頑張っているものの

みなさま、このブログにたどりついていただき、そしてブログ本文をお読みいただき、まことにありがとうございます。日本とミャンマーをつなぐビジネスサポートを主な生業とする「日本ミャンマー支援機構株式会社」で取締役をつとめております深山沙衣子(みやま・さえこ)と申します。

ここ半年ほど、ミャンマーが民主化したとマスコミでけっこう騒がれて、アジア危機以降、東南アジアでのビジネス戦略をここ10年ほど抑え気味だった日本企業も、「東南アジアでもっとも人件費が安いならミャンマーへいかなきゃ」と、少々エンジンがかかっている感じです。私たちが当社を設立したのは、この日本におけるミャンマーブームとまではいかないにしても、少々高く発生した波に乗ってみたいと思ったこともあります。が、もっとも大きな要因は、当社創業者の1人である代表取締役のミャンマー人TUN AUNG KHIN(トゥンアウンキン)が、日本での商業活動を通じて、世界最貧国の祖国ミャンマーの発展に尽くしたいと考えたからです。

ではなぜ、ミャンマー人のTUN AUNG KHINが日本でビジネスをすることになったかというと、20年以上の間ミャンマーに帰れずにいて、今も祖国に帰ってビジネスをするには環境が整っていないからです。ミャンマー(ビルマ)事情に詳しい方なら、「在日20年」と聞いてピンと来ると思います。1988年の民主化デモ後、大量のミャンマー人民主化活動家が海外に亡命し、祖国に帰れないまま経った時間が約20年です。

日本でミャンマー進出をお考えの方は、まず「ミャンマーの民主化はどの程度進んでいて、今後政権は安定化するのか。そして日本企業が投資できる環境は整うのか」と気にしていらっしゃると思います。当社はほぼ毎日、ミャンマーの旧首都ヤンゴンに事務所を構える関連会社、GOLDEN SQUERE CO,LTDと連絡を取り合い、ミャンマー現地の情報を収集しています。ほか日々アップされるビルマ語のニュースソース、来日するミャンマー人ビジネスマンとの会合などを通じて入る情報を総合的に見てミャンマーの「民主化」の進捗状況を述べますと、「2010年のミャンマー総選挙前より劇的に変わっているところはある。しかし社会の細部ごとに見ると、民主化したとはとうてい思えない部分は多く残っている」というのが実態です。

民主化活動家のリーダー、アウンサンスーチー氏が国会に登壇する、街中で民主化活動に関する媒体が広げられている、超富裕層のみが購入可能だった自動車輸入の規制が撤廃され、販売価格が5分の1ほどに下落した(マーク2の中古車の販売価格が1000万円から200万円ほどになっています)、などが民主化を示す現象です。一方で、都市部以外では、アウンサンスーチー氏が当選したミャンマー議会補欠選挙時に、選挙投票において軍がバックの与党に投票するよう村民が強要された、物資をミャンマーから早く海外へ輸送するには、役人へのわいろが依然として必要である、そして海外に移住した民主化活動家に対してテインセイン大統領より「帰国を歓迎する」と声明が出されたものの、民主化活動に対する法的罰則がすべて撤廃されていないことなどが、民主化がまだ浸透していない要素です。

では、2010年総選挙、そして2012年補欠選挙を経たミャンマー議会・政権は今後、安定化するのでしょうか? さまざまな見方があると思われますが、現状はっきり言えることは「2015年の選挙の結果次第」です。2010年の総選挙では、民主化活動を行う政党がほとんど選挙に参加せず、総議席のうち25%が軍人に割り当てられました。退役軍人を合わせて議席の約8割が軍関係者で占められています。2012年の補欠選挙で、民主化活動の最大政党、国民民主連盟(NLD)が大勝しましたが、議席数は全議席中43のみです。

ところが2015年には、はじめから民主化活動を推進してきた政党が参加できます。正当に選挙が実施されれば、NLDが大勝ちし、少数民族が支持母体となっている民主化活動の各政党も少々ながら議席を確保できるでしょう。日本のマスコミは民主化イコールNLDの活動ですが、少数民族もそれぞれ民主化活動政党を結党しています。彼らが議会で議席を得ることは、ビルマ族優位主義が当たり前だった軍事政権時代からの脱却・進展に寄与しますし、日本の新聞がやっきになって書いている「少数民族の貧困解消」に一役買う可能性は高いです。ただし、現与党の軍翼賛政党がそれを黙って見ている可能性はあまり高くないので、2015年の選挙における公平性、正当性は注視する必要があります。日本企業のミャンマーで安定したビジネス活動ができるかは、いずれできるようになると思われますが、今のところ2015年まで確実なことは分かりません。

しかし2015年にはASEAN内で関税が撤廃されますし、この時期を見据えてミャンマー政府も経済発展の工程表を考えているはずです。2015年前には経済活動の準備を整えておきたい、その前までに、海外から投資を呼び込んでおきたいというのが本音でしょう。だからここ2~3年のうちに、日本の大企業だけでなく、中小企業もビジネス活動をする素地が整うかもしれません。

なぜ「かもしれない」とあいまい表現を使うのかというと、ミャンマーではビジネスに関するものを含め、法律が毎日変わるのです。文字通り、本当に「毎日」です。先に述べた自動車の中古車輸入規制撤廃にしても、今まで日本円で100万円ほどの政府許可証を輸入業者が買わねばならないシステムだったのを、2012年5月のある日、ミャンマー政府はいきなり許可証制度をなくしました。その前日まで許可証を購入していた輸入業者は、100万円がただの紙切れとなり、その後ミャンマー政府からの補償はなにもありません。私もこの事態には、文字通り、頭を抱えてしまいました。100万円というと、日本ならば、なんとか工面することができる金額ですが、ミャンマー人の輸入業者にとっては「マンションを売らねば捻出できない金額。ああ冷や汗が出てきた。どうしよう」(実際に私が輸入業者の1人から聞いた台詞)と戦々恐々とする額です。

そんな具合に、正直に申し上げて七転八倒している日本・ミャンマー間のビジネス支援です。しかし確かなことは、ミャンマーにはビジネスの可能性が大いにあります。しかしビジネスのやり方を間違えると、可能性のある土壌であっても、企業活動はままなりません。そこで、当社ではまず、ミャンマーに視察に行くことをお勧めします。まずはミャンマーと言う土地を見て、従業員となるミャンマーの国民に触れ合っていただき、「これならビジネスができるかも」と実感していただきたいと思っています。ミャンマー現地視察は当社でご案内することが可能です。ご興味のある方は、下記のリンクより当社ウェブサイトをご覧のうえ、ご連絡くださいませ。

長々とお読みいただき、まことにありがとうございます。貴社、貴方様のご活躍・ご発展を心より祈念申し上げます。

日本ミャンマー支援機構株式会社ウェブサイト


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